4.出願公開
出願公開とは何でしょうか。
出願された日から1年6月を経過しますと、特許出願の内容が公開公報によって公開されます。
この出願公開により、発明が世の中に広く知られることになります。特許制度は、発明をした者に特許権という独占権を与えて保護すると同時に、発明を世の中に技術情報として公開し、技術の発展を促すことを目的としています。
特許出願をしてから出願公開をするまでの1年6月の間、出願人が教えない限り、発明は秘密の状態におかれています。このため、世の中の人が発明の内容を知るようになるには、1年半の時間遅れがあります。この一年半に特許出願した発明が秘密の状態に置かれていることは、とても重要です。会社の製品カタログなどを見ますと、「特許出願中:特2008-XXXXXX」といった表示が良くあります。しかし、「特願2008-xxxxxx」ということは、出願から1年半を経ていませんので、出願公開されておらず、発明の内容を知ることはできません。発明の内容が分かりませんと、その製品を調べて同等品を作ろうとすると、将来的に特許権を侵害するリスクを負いますので、うかつに同等品をつくることができません。その結果、特許出願しただけですが、独占的に製品化して販売できる環境が一年半つづきます。
個人の出願でしたら、出願から公開までの一年半の間にメーカーに接触して特許出願した発明の製品化を検討してもらう期間といえます。最初にメーカーに話す際には、発明の概要が分かればよいので、特許出願した書類の中の「要約書」と特許庁から受領した「出願番号通知」だけを見せれば良いでしょう。メーカーが関心を持てば、特許出願した「特許請求の範囲」、「明細書」、「図面」を見せてほしいとの要請があるでしょう。この場合、要請された書面を直ぐに見せることは禁物です。メーカーとしては発明の内容が分からないと、製品化するかどうかの判断が下せないことになりますが、出願人個人としては出願公開前の秘密の状態にある発明を見せることになりますので、秘密情報を開示する条件として、初期的な対価を求めてもよいと思います。秘密を公開する対価は、例えば1万円程度とお互いに負担にならない額が適当でしょう
対価を求めるということは、相手方に発明の重要度を認識させますし、もし対価を支払っても開示を求めるようであれば、メーカーの関心が高いことが分かります。勿論、相手との信頼関係が得られるようでれば、無償でもかまいません。
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